LEとSCM/ロジスティクス改革

SCM/ロジスティクス活動の目的

SCM/ロジスティクス活動の目的は、つきつめて言えば「在庫の極小化(在庫回転率の適正化)」にあると言えます。そしてその活動の帰結として、財務指標のROA(Return on Assets:総資本利益率)を高いレベルで維持、改善することが可能になります。
運送費や梱包材料費が他社より高いことが原因で潰れた会社という例は聞いたことがありませんが、不良在庫を抱え、キャッシュが回らなくなって倒産する会社は数多くあります。
不良在庫の増加⇒総資産の増加⇒フリーキャッシュの減少⇒財務状態の悪化により借り入れ不能に陥り、最後は倒産の道をたどります。
インベントリーキャリングコストという視点で見ると、在庫高の20%~40%が年間在庫費用として発生していることが、多くの専門家から指摘されています。
在庫を極小化、適正化することは、企業活動をする上で、最も重要なアクティビティであることがお分かり頂けると思います。

 

限られた手段しかない在庫削減

一般的な企業はSCM/ロジスティクス活動に於いて在庫削減を追い求めますが、在庫削減の手段は限られたものしかありません。
1)調達、受注、出荷など、あらゆるリードタイムの短縮
2)在庫拠点数の削減、在庫階層の圧縮
3)末端需要と流通在庫を含んだトータル在庫のスピーディ、正確な捕捉
の3点が、基本的な施策です。
小ロット・多品種生産は、1)を実現する手段ですし、サプライチェーン改革は2)、POSシステムは3)を実現する手段です。 これらの基本施策に続くものは、SKU数(在庫管理アイテム数)の削減、高機能の需要予測システム導入などがあげられますが、上記の3施策に比べれば効果は小さいと言えます。
ゆえに、SCM/ロジスティクス活動に於いては、上記の3つの基本施策を追い求めて行きます。

 

在庫削減を追求するとLE(ロジスティクス・エンジニアリング)の必要性が理解できる

SCM/ロジスティクス活動で、在庫削減を追求するために前項の施策を展開する訳ですが、例えば、在庫拠点数、階層を削減していけば、必ず上位階層の物流センターに大きな負荷が掛かります。
出先の在庫保有拠点(DC)を廃し、通過型拠点(TC化)を進める。あるいは、全国で100箇所あった在庫拠点を5箇所に集約する。どれも在庫削減施策としては正解ですが、結果として中央に位置づけされる上位物流センターの出荷件数が増加し、少量・多品種出荷の割合が増えます。
これらの負荷増加の対策として、自動倉庫の新設など大規模な設備投資を伴う施策を採ると、固定費増加、損益分岐点の押し上げなどが起こり、変動に脆弱な経営体質となります。また、出荷能力は自動化設備の能力限界で決まりますから、市場の大きな需要変動に対応できなくなります。
大規模投資を伴わない様な改善手段を採ろうとすると、そこにはロジスティクス技術=LEが必須となります。
「カネを使わず知恵を使って負荷変動への対応をする」
これがロジスティクス改善の基本です。
また、1)のあらゆるLTの短縮実現にもLEは重要な手法となります。受注確定から出荷完了でのリードタイムを如何に短縮するかはLEが得意とするテーマです。
今まで述べてきたことを纏めますと、会社の経営体質を改善していくために、SCM/ロジスティクス活動は非常に重要な要件である。そして、SCM/ロジスティクスを効果的に展開するためには、LEの導入が不可欠であるということです。

 

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